ちょうどいいブスのススメ

テレビドラマ化されるに際し、タイトルの変更を余儀なくされたというので、逆に興味が出てきたので買って読んでみました。私は男性ですからあくまで男性の目線ですが、結論からいうと、とてもいい内容でした。内容をざっくり1行でいうと、「容姿に自信のない人でも、常識や良識を大切にし、ユーモアやセンスを磨くことで充分戦える」というものです。とてもいい内容です。何よりタイトルの「ブス」という単語が問題視されているのでしょう。そもそもブスと美人という軸で女性を評価するのは男性ウケを前提としたものであり、ブスという単語を認める以上、ブスは対男性という点で損をすることを認めることになります。本書は全体を通じて「ブスは損をするから、美醜とは違う次元で挽回しよう」という前提に立っているので、フェミニズム的な世界観にとっては確かに許し難い内容でしょう。Amazonで買ってもいない人からの低評価が多いのもうなずけます。街の本屋さんで買ったなら少しは立ち読みしてから買えばいいのに。フェミニズムにとっては許し難いのでしょうけれど、しかし人間には実際に「美醜」があります。美醜とは相対的なものであって、すべての女性がモデル並みにキレイになっても、そのなかに序列ができる限りブスは存在します。美人はただ突っ立っているだけで男性からチヤホヤされ、ブスは努力しなければ相手にされません。その努力をわかりやすく書いたのが本書です。その努力も、決して下品ではなく、女性のプライドを捨てるものでもなく、「見えないところでちゃんとしよう」（見えないところでのマナーや気遣いが内面を育てる）「雑談力を鍛えよう」（たとえば映画の好みを聞かれたときの理想的な返しとは）「ビッチ自慢の下ネタはやめよう」（ユーモアのある大和撫子系下ネタとは）「SNSとは上手に付き合おう」（男性から不意に届いたLINEの有効な返し方とは）など、全体を通してとても常識的であり、とても実践的な内容です。下ネタの言い方をキチンと解説した本って少ないですよ。ましてや著者が自分で実践した（と思われる）ものですから説得力があります。私が言われたらドキッとするよなぁと思ってしまうものばかりでした。本書に書いてあることを実践したら、きっと男性にモテるだろうし、仮にモテないにしても男性から見て素敵な女性になれることは間違いないと思います。ブスを乗り越えるにはブスを見つめ直す必要があります。ブスから目を背けている限り、その人は永久にブスです。男性に置き換えれば、「ハゲって言うな！」と叫んだところでハゲはモテませんし、毛も生えてきません。ハゲはハゲと認めて、どうすればかっこいいハゲになれるかな、と考えていくべきです。そのためにも本書は「ちょうどいいブス」という、お笑い芸人を生業にしているブスだからこそできるちょっと自虐的なタイトルを付け、ブスをあえて見つめ直してそれを乗り越えて、ブスはブスのまま、ちょうどいいブスとなって、素敵な女性になるためのアドバイスをしているのです。ブスにばっかりフォーカスするから本書の読み方がおかしくなるのです。「ちょうどいい」という単語にフォーカスしましょう。この本の立ち位置は女性芸人でなくては書けなかった立ち位置だと思います。まるで関係者のステマみたいなレビューになってしまいましたが、私は関係者ではありません。良書であると心から思ったものの、本当にちゃんと読んだのかな？と疑問に思ってしまうような心ないレビューが散見されたので男性の目線ではありますがあえてレビューを書きました。